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コラム

地震のときカーテンが果たす、意外と大きな役割

2026年7月28日、熊本県熊本地方を震源とする最大震度7の地震が発生しました。8月に入った今も震度3〜4クラスの余震が続いており、現地では不安な日々が続いています。このたびの地震により被災された皆さまに、心よりお見舞い申し上げます。一日も早く、皆さまが平穏な日常を取り戻されますことをお祈りしております。
日本は「地震大国」と言われる通り、地震の多い国です。どこで大きな地震が起きてもおかしくない——今回の熊本地震は、そのことを改めて突きつけたように思います。だからこそ、この機会に少しでも防災について考えるきっかけになればと、このコラムを書きました。防災というと非常食や水、家具の固定を思い浮かべがちですが、実は毎日何気なく使っている「カーテン」にも、地震のときに私たちを守ってくれる役割があります。今回は、カーテンと地震というあまり結びつかないようで、実はいくつかの接点がある関係を、4つの視点から整理してみます。

目次

窓ガラスの飛散を防ぐ「最後の壁」


地震で窓ガラスが割れる原因は、大きく分けて2つあります。ひとつは、揺れによって窓枠がゆがみ、ガラスがその変形に耐えきれず割れてしまうケース。もうひとつは、家具の転倒や飛来物がガラスにぶつかって割れるケースです。
ここで意外と効いてくるのが、カーテンです。ガラスが割れて破片が広範囲に飛び散るのを、カーテンを閉めておくことである程度抑えられると言われています。就寝中や外出中も窓を覆っておく習慣自体に意味があると考えられます。
ただし、カーテンには生地の隙間があるため、破片が完全に床へ落ちるのを防ぐことまではできません。「飛び散りをある程度抑える」効果と捉えるのが実態に近く、床への落下までしっかり防ぎたい場合は、ガラス飛散防止フィルムとの併用が確実です。JIS A 5759(建築窓ガラス用フィルム)の飛散防止試験に合格した製品を選べば、ガラスが割れても破片をフィルム側に留めておくことができます。カーテンとフィルム、どちらか一方ではなく「二重の備え」として捉えると、窓まわりの安心感がぐっと増します。

見落としがちな「カーテンレールの落下」リスク


一方で、カーテン自体が思わぬ危険源になることもあります。カーテンレールは、壁の石膏ボードだけで下地(木枠)がない場所に取り付けると、ネジがうまく効かず、経年劣化や日常的な負荷(洗濯物を掛ける、子どもやペットがぶら下がるなど)でネジ穴が徐々に広がり、外れて落下することがあります。強い地震の揺れが、こうした「もともと緩んでいた」箇所に追い打ちをかけ、落下のきっかけになる可能性がないとも言えません。
対策はシンプルで、壁内の下地(木枠)が入っている場所にきちんと固定されているか、ブラケットのネジが緩んでいないかを一度チェックすること。下地のない場所には本来レールを取り付けるべきではなく、どうしても必要な場合は、業者に依頼して下地を入れる工事をしてもらうのが確実です。市販の下地補強アイテムを使う方法もありますが、あくまで簡易的な代替手段と捉えておくのが安全です。

進化する「防災カーテン」というジャンル


防炎・遮熱・UVカットといった機能を備えた「機能性カーテン」は、多くのカーテン専門店で定番の商品カテゴリーとして展開されています。糸の段階から難燃剤を練り込んで織られた防炎性能の高い生地など、選択肢は広がっています。
「防炎」とは燃えないという意味ではなく、火が触れても燃え広がりにくくする性能のこと。定義や防炎物品・防炎製品の違い、実際の延焼抑制事例については、以前まとめたコラム(知ってますか?防炎機能が大切な理由)で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
選び方のポイントとしては、①防炎ラベルの有無、②飛散防止性能の表示、③遮熱・遮光機能の有無、の3点を確認するとよいでしょう。特に注意したいのが、高さ31mを超える高層マンション(おおむね11階建て以上)です。消防法(消防法施行令第4条の3など)により、居住している階数にかかわらず、建物全体で防炎カーテンの使用が義務付けられています。管理組合のローカルルールではなく法律上の義務なので、該当する建物にお住まいの方は、まだ確認していなければこの機会にチェックしてみることをおすすめします。
なお、布製カーテンは「燃えにくく」する加工ですが、アルミブラインドはそもそも素材自体が燃えないという違いもあります。窓まわりの防火対策として、カーテンとブラインドを部屋ごとに使い分けるのも一つの考え方です。


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停電時、カーテンが支える「室温キープ」

  


地震はしばしば停電を伴います。空調が使えない状況で頼りになるのが、カーテンの断熱・遮熱効果です。
冬場は、厚手の遮光ドレープカーテンが活躍します。生地に厚みがあり裏地が付いたタイプは断熱率50%を超える製品もあり、室内の熱を外に逃がしにくくする効果が期待できます。停電で暖房が使えなくなった場合、それまでに温まっていた室温をできるだけ長くキープする助けになります。
夏場は、遮熱レースカーテンが窓からの日射熱をやわらげてくれます。レース単体でも効果があるとされていますが、厚手のドレープカーテンの方がレースより遮熱効果が高いというデータもあるため、ドレープと組み合わせるとより効果的です。
ただし、空調が使えない夏の停電時は、窓を開けて風を通したい場面も多いはずです。ドレープを閉め切ってしまうと通風の妨げになるため、日中の強い日差しだけレースで和らげつつ、窓は開けて風を通す、といった使い分けが現実的です。厚手のドレープは、日中留守にする時間帯や西日が強い時間帯など、風より遮熱を優先したい場面に絞って活用するとよいでしょう。空調が止まった状況では、こうした「窓からの熱の出入りを抑える」というカーテン本来の機能が、そのまま室内環境を守る備えになります。

最後に

私も東日本大震災の際、宮城県で被災した経験があります。あのときは雪の降る、とても寒い時期でした。ライフラインはすべて止まり、避難した小学校にある数台のストーブの前にみんなで集まって暖を取ったこと、それでも顔を合わせるたびに声を掛け合い、助け合った記憶が今も残っています。
今回の熊本地震は、あの時とは逆に、猛暑の中で起きています。熱中症の疑いによる災害関連死が確認されているように、暑さそのものが命に関わる状況ですし、食料が傷みやすいなど、季節ならではの難しさもあります。災害の大変さは、季節によってもまったく違う顔を見せるのだと、自分の経験と重ねて改めて感じています。
ただ、季節や状況が変わっても、身近なところから備えを見直すことの大切さは変わりません。普段は「インテリアの一部」としてしか意識されないカーテンですが、地震という切り口で見直すと、ガラス片から身を守り、逆に自身がリスクにもなり、停電時の暮らしを支えるという、多面的な存在であることが見えてきます。余震が続く時期には、窓を覆って視界を遮るだけでも、ささやかな安心につながることもあります。この機会に、ご自宅のカーテンを「防災アイテム」として一度点検してみてはいかがでしょうか。

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